チームのために

 みんなが一人のために。一人がみんなのために。

 「何を言っているんだろう????」

 中学を卒業し、ブラジルに渡った僕は、試合の前に円陣を組み仲間たちが発している言葉の意味が、まったく理解できませんでした。あいさつぐらいしか分からなかったポルトガル語、、、。
 がむしゃらにピッチの上で、ボールを追いかけ、毎試合が戦いでした。相手との戦いというよりも太陽の暑さとグラウンドからの照り返しの強さ。長い芝の上を走ることも、疲労した身体にはこたえました。

 「何をやってるんだーーーー!!!!もっと正確に!!!」

 一つのミスがベンチからの指示を高めました。

 2010年 6月13日(日) あきる野市総合スポーツ祭 6年生の部 雨間グラウンド

 6チームが出場し、2つのグループリーグに別れ、各リーグ1位と2位がトーナメントに進みます。U-12メンバーがほぼ全員揃い、僕は少なからずも今回の大会に期待していました。

 1試合目 vs あきる野市5年選抜 9:50 K/o

 1試合目の審判をしていた僕は、トレドコーチと選手たちのウォーミングアップを気にしながら笛を吹いていました。選手たちのプレーを楽しみにしながら。

 試合が始まると、明らかにボールが選手たちの足についていないことを感じました。パスを出す場所も常に相手の選手たちには分かりきっており、成功率が高くありません。ドリブルにしても、1人目、2人目まではかわせるのですが、3人目、4人目に入った時の判断の悪さ。
 そういった中でも、3-0で勝つことができました。

 2試合目 vs 秋川少年 10:40 K/o

 グループリーグの2試合目は、秋川少年です。簡単に進む試合だとは思っていませんでしたが、案の定、その通りの試合展開でした。

 選手というものは、試合中に自分が目立ちたいものです。特に小学生のうちは尚更です。かっこいいフェイントがしたい。突き刺さるようなシュートが打ちたい。しかし、サッカーは、サーカスではありません。自分の他に10人の仲間がいます。優れた選手というものは、チームメイトの能力を引き出しながらも自分自身のプレーを表現できる人間だと思います。

 チームのために自分を犠牲にしないと、、、。

 結果は0-2の惨敗でした。

 リーグ戦の結果から2位通過で決勝トーナメント戦へ進みました。

 決勝トーナメント vs 五日市FC

 この試合は、隣のグラウンドで審判をしていたので、ベンチに入ることはできませんでした。
トレドコーチに後から、試合内容を聞いたところ1-0からの逆転負けでした。

 現在、世界のサッカーは、1人、1人にハードワークを求めています。個人の力だけでは、なかなか打開できないのが現状です。才能ある選手たちもチームのために自分を犠牲にしています。

 15歳の頃、聞いたブラジルでのフレーズは、サッカーで一番大切なことを語っていたのかもしれません。